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最高裁判所第一小法廷 昭和31年(あ)1944号 決定 1956年11月01日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人高橋敏の上告趣意一は、原審で主張判断のない単なる法令違反の主張であり、同二は、量刑不当の主張であって、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、従来の大審院判例の示すごとく偽造手形は、何人の所有をも許さないものである(ただし、検察官が没収の執行として偽造手形に偽造の旨表示したものを所有又は所持することを許すものであることは刑訴四九七条、四九八条により明白である。)。されば、第一審判決が本件証第七号、証第一六号の約束手形が偽造であることを認定した上判示犯罪の組成竝びに供用物件で何人の所有をも許さないものであるから刑法一九条を適用してこれを没収する旨判示したのは、前記趣意に外ならないものというべく、所論の違法は認められない。)また記録を調べても同四一一条二号を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野 毅 裁判官 入江俊郎)

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